さすが!ウィーン 皇帝の都 音楽の都

寺岡内科医院 院長の元気塾202407ブダペストからウィーンまで、広大な畑あり、森あり、小川あり、ローカル駅あり、4時間の鉄道旅行は楽しいものでした。北海道を思いださせます。

ウィーン駅に降り立ち、ミュンヘンに向けて遠ざかってゆく列車の後ろ姿を見ていると、白黒映画に登場する国際列車の面影を感じるものです。タクシーで(なんと1/3はトヨタのプリウスでした。)旧市街に入ると街路樹と重文級の荘重なビルが立ち並び、100mはあろうかという広い道路の真ん中を赤い路面電車が縦横に走っていて、街の景観に溶け込んでいます。街の中心は王宮、図書館、大学、博物館、オペラハウス、大聖堂といった古典的な石造りのヨーロッパ建築と彫刻で埋め尽くされ、その規模と豪華さ荘重さは、さすが神聖ローマ帝国皇帝ハプスブルグ家の都だと感嘆せずにはおれません。うらやましいことにそのほとんどすべてが解放され、庶民でも最高の文化芸術を気軽に楽しめるのです。たとえば赤坂の迎賓館で普通にお茶という感じですが、こんなことが出来るのは本家本元の自信でしょう。ここでもローマ文明に圧倒されます。

あこがれだった楽友会協会黄金ホールに行くことが出来ました。ウィーンフィルの新年コンサートで有名なあこがれのホールで、古典装束でかつらをかぶった演奏者がモーツアルトの楽曲を奏でます。若い頃、夢中で聴いた「交響曲第40番ト短調」が演奏されると、これまで歩んできた人生を思い起こし、叫びたい衝動に駆られました。最後に演奏されるのはやはり「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」でした。会場全体が大きな手拍子で、この場の一人でいることが夢のようです。涙が滲んで来るのでした。

翌日はザルツブルグへのツアーです。モーツアルトの生まれ育った街として有名ですね。その生家は観光客であふれ返っている商店街の一角にありました。この狭い路地の一角で幼いモーツアルトが走り回っていたのです。はしゃぐ声が聞こえてきそうです。驚いたことに世界的指揮者カラヤンの邸宅は徒歩5分でした。でも私達夫婦にとってのザルツブルグは、映画「サウンドオブミュージック」の舞台としての位置づけの方が大きいのです。十代の頃どれほど心躍らせたことでしょう。この庭の噴水で子供たちが踊った、この階段でドレミの歌を歌った、ここで修道女マリアがバスに乗った、と60年前の足跡をたどります。周りのツアー客も「サウンドオブミュージック」目当ての人がほとんどで、中年の方が多かったです。あとであの映画は実話をもとに、ザルツブルグ周辺のベストな所を集めて創造したものと聴かされ、「映画は夢」と思い知らされたことでした。でも絶対に名画ではあります。みなさんもDVDなどで一度ご覧くだされば。

次の日は王宮巡りです。有名なシェーンブルク宮殿では表向きの政治と社交の場として赤や金色の豪華な内装とシャンデリアに感動するのですが、最後の皇帝フランツ・ヨーゼフの質素な執務室と鉄のベッドには驚きます。朝3時に起きて夜中12時まで働いたそうです。そんなところからも現代でも国民から敬愛され続けているのです。彼の妻が宝塚歌劇で有名な(?)「皇妃エリザベート」ですね。「シシー」の愛称で国民から愛されている悲劇の皇妃ですが、彼女の一生を展示する博物館が旧王宮にあり、絶大な人気です。彼女の自室、化粧室、洗面具、化粧道具、体重計、黒い喪服、手袋、トイレまで展示されていました。彼女は人の目と宮廷の煩わしいしきたりを嫌って放浪の旅を送っていたのに、皮肉なことに現代でも世界中の関心のまとです。美貌が運命を狂わせてしまいました。

ウイ-ンといえばザッハトルテというくらい、ケーキと喫茶が有名です。いたるところに豪華すぎる名店があり、その豪華さ、本物感、それに比べて値段の安さに感嘆するのですが、最後に感動したカフェをお見せしましょう。

ここは美術史美術館という宮殿の一角です。
一杯10000円でも安いと思わせる世界最高の宮殿カフェはここです。ウィーンに夢中になり過ぎました。チェコのプラハのお話は次回以降にさせていただきます。お楽しみに。