食事のアメリカ化が止まりません
若者が好むファーストフードの特徴といえば、高脂肪で野菜不足、加工肉の多さということでしょうか。TDLやユニバでよく見かける光景です。こういった食事が続くと肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因になるということが口をすっぱくして言われ続けてきました。その反省から世界的に日本食、地中海食、スローフードの評価が高まっている流れもあります。今回はファーストフードの何が問題なのか、腸内細菌叢の観点からお話してみたいと思います。ところで腸内細菌叢(ソウ)というのは、それぞれの人に100兆個もいる常在腸内細菌の勢力図のようなもので、元々は母親からもらい、食事環境などによって変化しながら、善玉菌、悪玉菌、日和見菌などが安定的に保たれています。消化、吸収、感染予防、に不可欠なもので、ただの「ばい菌」の集合と侮ってはなりません。これが無ければ人間は生きていけないものです。
まず[高脂肪食]についてお話します。
高脂肪食が続くと腸内細菌叢のある種の悪玉菌が増え、粘膜細胞を刺激して炎症物質を産生させます。その炎症物質は全身を駆けめぐり、あちこちで炎症を起こします。「肥満は軽度慢性炎症である。」といわれる由縁です。その結果、糖尿病、動脈硬化を起こします。今回の新型コロナの悪化要因として「肥満」がありますが、炎症のあるところ目がけてウィルスが侵入するのですから、重病化しやすいのもうなずけます。その炎症物質が脳を刺激し続けるとどうなるか…。食欲をコントロールする中枢神経(視床下部)が狂って来ます。そして腸から送られてくる満腹シグナルを感じなくなり、ますます太ることになってしまいます。
炎症物質により腸では粘膜細胞同志の結合が弱くなり、毒物の侵入が始まり免疫反応を起こす危険が生じます。その結果、アトピー、喘息、蕁麻疹が起こります。ストレスをかかえた人は脂肪食を好み気分が落着くところが怖いところです。
[低食物繊維食]について
野菜、玄米、海草類、豆、きのこ、などは消化されにくいもので、食物繊維が豊富な食べ物です。消化酵素をもってしてもカスがのこってしまいます。そのあとは腸内細菌の出番です。たとえばアッカーマンシア属はカスを最終的には単鎖脂肪酸にまで分解します。この脂肪酸が腸粘膜細胞に働きかけます。これをもらうとレプチンという満腹ホルモンが産生され脳に届いて摂食を止めさせます。また脂肪細胞の肥大を防ぎます。
また単鎖脂肪酸は腸粘膜細胞の結合を強化し、本来なら血中に入ってはいけない毒物を阻止もします。結果、アレルギー現象の抑制にもつながります。こんな善玉菌を増やすことができる方策は、彼らに餌を与え続けて勢力拡大させることです。太るのは脂肪を沢山食べるというより、食物繊維が少ないことのほうが関係しているようです。そんなことから最近では、食物繊維はたんぱく質、脂肪、炭水化物と並んで第四の栄養素といわれるのです。
【加工肉】について
量販店のハンバーグがお家で作ったものと同じと思う方は純粋な方でしょう。味、食感、保存性を高めるためにどれだけの添加物が入っているか?一ヶ月放置しておいてもカビも生えず、腐りもしないというのは異常としか言いようがありません。添加物の発がん性も懸念され、腸内細菌叢をどのように混乱させるか知れたものではありません。原料となる肉自体にも問題があります。抗生物質、肥育ステロイドを与えて成長を早くし回転を上げるというのは業界の常識です。安い肉に使われていないはずがありません。そこで各国による規制があるのですが、基準はバラバラです。又、どこまでやるかやらないかは業者の良心にゆだねられているのです。安くてボリュームタップリのお肉にはそれなりの理由があると思ってよいでしょう。一時的ならいいでしょうが食べ続けることには問題がありそうです。
今、主婦の関心事はヤクルト1000!何処に行っても売り切れ状態でなかなか手に入らないそうです。特徴はストレス緩和、睡眠改善です。インフルエンザ予防の明治R-1とい
うヨーグルトも有名です。ようやく腸内細菌叢の重要性に世間が目醒めはじめたということです。心ある人たちの間では日本式の低脂肪高繊維食、発酵食品に注目が集まっています。良い食べ物を食べて、腸内細菌叢を大事にしたいものです。