(続)年をとっても元気な人の特徴
先月はいつまでも若々しいご高齢の方の秘訣をご紹介しました。「現役であること」「コレステロールを恐れず肉を食べること」「幸せを感じること」「変化を楽しむこと」などをあげさせていただきました。今月もその続きです。
「血圧とは適当につきあう」
肉体は老化とともに固くなり弾力性が減少してくるということは肌を見ていて実感することです。動脈も同様で少しずつ固くなります。そうすると、心臓から送られた血液と動脈壁の衝突はハードになってゆきます。これが高血圧が老人に多い理由です。ですから軽い高血圧はあたりまえということなのです。ただしあまりにひどい高血圧は心臓を疲弊させ、動脈を傷つけ、腎臓障害を引き起こすことがわかっていますので治療が必要になってきます。 現在の高血圧の基準は、130/85mmHgとされていますが、これでは治療対象が多くなりすぎます。以前のように上の血圧が「年齢プラス90mmHg」で、上限155mmHg程度が妥当なところだと思います。脳梗塞や心筋梗塞などの血管死を恐れすぎてあまり血圧を下げようとすると、食事制限などで生活に潤いがなくなり、元気は半減するし、ということになりかねません。極端に血圧を気になさらなくて良いんだと思います。血圧の高い人は活動的な方が多く、得をすることもあるのですから。
「太めの方が長生き」
普通の生活をしていれば年とともに若いころのスマートさが徐々に失われ、おなかが出て来てくるというのは逃れがたい宿命です。そこで健康診断でよく使われるBMI=体重÷(身長×身長)はどうでしょう。BMIは22が最適とされていますが、ややスマートすぎる感じがします。歴史上の人物で見てみましょう。60歳の徳川家康の場合、推定159cmでふっくらしたイメージから65Kgはありそうです。これでBMIを計算すると25.7となり肥満となります。やせ過ぎのイメージがある豊臣秀吉はどうでしょう。推定身長152cmで見た感じ48KgくらいですからBMIは20.7となり、現代でもやせすぎとなります。どちらが長寿であったかは歴史が示すところです。数々の統計からBMI=25~30くらいが生存率が一番高いようです。年とともにBMIは上がって行って当然なのです。
「見栄えが良い」
人間は「注目されてこそ元気がでる。」というものです。どんな偉い人でも目の前に人参をぶら下げられて頑張ってきた結果です。それが社会的地位であったり、お金であったり、表彰状であったりするわけですが、特に女性では美容が加わったりするのでしょう。ですから元気のためには世間から注目されて褒められることを心がけると良いのです。例えば地域の役員を引き受けるとか、○○夫人のようにしわを取って世に出るとか、注目を引き寄せることです。それが何かの腕を磨くことであったり、おしゃれであったり、使命であったり、人から注目されると元気が出てくるはずです。
「男性ホルモンが強い」
男性ホルモンというと男らしさ、攻撃力の象徴ですが、良い面として、やる気、他を思いやるやさしさ、脳の活性化、筋力強化という役割もあります。まず、男性ホルモンの原料であるコレステロールを摂ることです。次いで「異性の前でカッコウよくふるまう」ことです。女性は年が行くと男性より男性ホルモンが多くなるそうです。異性に関心を持つことも元気をあたえてくれます。無くなることは枯れたということになってしまいます。
「歯を大切にする」「固いものを食べる」
動物にとって固いものをかみ切るということはという生命活動の原点です。これが弱ることは生命力の低下を意味します。固いものを咬み切ると三叉神経を通じて脳に刺激を与え、満足感をもたらしてくれます。これは脳を活性化し、自身の生命力に自信を与えます。また咬む力は全身の筋肉に反映します。王貞治さんは打撃のたびに噛みしめたせいで奥歯はガタガタだそうです。老人に多い「フレイル」は全身の筋力の低下をいいますが、こうなると咬む力、嚥下力も低下します。そこで唾液や食物を誤って吸いこんでしまう「誤嚥性肺炎」が多くなるのです。老人の死因で「肺炎」が多いのはこのためです。咬む力を発揮するためには歯が丈夫でなければなりません。そのために禁煙に努め、若いころから歯の手入れをおろそかにしないよう心掛けたいものです。