パワースポット、その2

寺岡内科医院 院長の元気塾20230710月号では「心を慰めてくれるパワースポット」として、「篠山」のお話をしましたが、今回は「そこに行くと元気にしてくれる」という意味で意外なパワ-スポットをご紹介しましょう。それはずばり「新大阪駅」です。      

ここはなんといっても日本を代表するゴールデンルート=成田→東京→京都→大阪→関空を結ぶ東海道新幹線の終着駅です。日本ならずとも世界中で有名です。改札口の前のコンコースあたりを歩いていると、明るい緊張顔で歩く若い男女のビジネスマンが行き交い、構内の騒音も活気を与えていて思わずこちらも胸を張り足取りが早くなるのを覚えます。

スターバックスにでも入ってコーヒーを飲みながらあたりを見回すと、若い男女のビジネスマンがパソコンに何やら打ち込んでいるのを見るのが当たり前の光景になりました。一心にパソコンを見つめている姿を見ると、こちらも年齢を忘れて30代のビジネスマンになっている自分を発見します。その中で女高生らしいグループもはしゃいでいます。その表情は昔とあまり変わっていないことを確認するのも楽しい発見です。   

最近では外国人旅行者の多いことに改めて驚きます。彼らの表情を観察していると、ほど良い緊張感とともに、日本社会に対する敬意を払っているようにさえ思え、またそれを自然なこととして受け入れている我々自身も成長したものだと誇らしさを感じるのです。これだけでも元気が出てきます。

とある日曜日の午後8時過ぎ、中央改札口付近のコンコースにあふれんばかりの外国人旅行者を目撃しました。多くの言葉が行き交っています。みなさん最終の新幹線で東京に向かわれるのでしょうか、80%以上が外国人でした。これまでこんな光景は見たことがなくて、いよいよ大阪も国際的だなあと感心した事でした。新大阪に来れば世界が見えるといえば大げさでしょうか。・・・この感覚、何かに似ていると思っていましたが、そうです。石川啄木が上野駅で、「故郷の訛り懐かし停車場の、人ごみの中にそを聴きに行く。」と詠んだ心の現代版という事になりますでしょうか。現代版では「世界へのあこがれ」に変わっていますが・・・。何となくけだるい、やる気が出ない、と感じられるとき、新大阪駅にふらっと立ち寄って、改札口からおみやげ屋さん、食堂街、百貨街をぶらぶら歩くのです。結構な数のお店がそれぞれ趣向を凝らして頑張っています。行き交う人々も皆さん明るい雰囲気を醸しておられます。そこでパワーをいただくのです。

ところで御存知でしょうか。いずれ北陸新幹線が関西までつながり、新大阪が終着駅になることは確定していますが、リニア新幹線の終着駅も新大阪と決まっているそうです。大阪の北の方ばかり便利になって、と南部、東部の人たちには申し訳ないような気もしますが、全国地図で関西の交通網をながめますと、やはりここが関西の交通の中心地であることが分かりますから、そうならざるを得ないのでしょう。リニアのことは上の方では決定事項のようです。それをにらんででしょうか、阪急が新大阪、十三、グランフロント、地下鉄浪速筋線(新設)、から南海に乗り込み、関空まで行く路線が決定しています。阪急はそのために今の標準軌をわざわざ南海と同じ狭軌で用意するそうですから、その本気度が分かるというものです。というように、ここ新大阪地域は国際的にみても未来と希望にあふれているといっても過言ではありません。

みなさんの脚の下が未来のパワースポットなのです。その中心地が新大阪駅だといえます。こんなところに身を置いていて気分が悪いはずがありません。実はここ東三国の地に内科医院を開業させていただいてもう35年になります。最初の数年間は患者さんが少なくて赤字が続き、健康上の問題もあり不安で仕方がない日々が続いたものでした。落ち込みがちな気分を高めるために、今は亡き父とともにお昼ご飯に通ったのが「新大阪駅」でした。ここへ来てビジネスマン、旅行客を見ていると何かしら元気をいただいたような気がしたものでした。コツコツとやってきたこの35年で、ようやくそれらしい診療所にならせていただきました。私にとって新大阪駅は間違いなくパワースポットなのです。それともう一つ大事なパワースポットがあります。

それは毎日通う「寺岡内科医院」のこの職場です。職員と一緒になって明るい声で仕事を始め、患者さんたちと声を交わすうちに、少々しんどいなあと思う朝でも次第に頭が回り元気が出てくるのです。35年の間、しんどい時期もありましたが、職員と一緒に患者さんのお世話をさせていただくこの場所が私にとって最大のパワースポットなのです。