実は太めの方が長生き、見た目も大事、オミクロン株

寺岡内科医院 寺岡院長202202健康診断で必ずチェックされるのがBMI(体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m))です。この値が25を超えると太めと判定されてしまいます。

私の場合ですと体重が74Kg、身長が1.71mですから、BMI=74÷1.71÷1.71=25.3となり、少し肥満ということになります。肥満学会のいう標準BMIは22。これで計算すると私の場合理想は64.3Kgとなり、10Kgも減らさないといけないことになります。でもその通りだと貧相で、「何か病気しはったんですか?」と聴かれるのがおちです。これ以上太らないように気をつけていますが、痩せたいとは思わないのです。といいますのはこんなデータがあるのです。

40歳~59歳の男女4万人を10年間フォローした結果、死亡率が一番低いのはBMI 23~24.5の人たちであったことが分かっています。他の報告では25~30の人がもっとも長命だったといういう報告もあり、どうもBMI22は低過ぎで、少なくても10%増し(24.2)以上が良いようです。一度皆さんも本当に自分に合った体重を24.2×身長×身長で計算してみられてはいかがでしょうか。

これと似たようなことがコレステロールにも当てはまります。70歳以上の高齢者について追跡調査を見ましょう。総コレステロールの値によって①低い、②やや低い、③やや高い、④高い、の4グループに分けて死亡率を10年間フォローした結果、長く生きたのは③、②、④、①の順でした。「コレステロールがやや高い」グループが最も長生きで、「コレステロールが低い」グループが最も生存率が低いことになりました。この結果もすんなりと理解できるような気がします。そりゃ栄養が悪かったら長生きできそうにありませんもの。

血圧については微妙です。血圧がなければ血は回りませんが、血圧は同時に血液が血管を傷つける圧力でもあるのです。人生20億回の拍動で圧迫されたら血管の痛むのは当然です。痛んだ結果、血管が硬くなったり、厚くなったり、もろくなったり、補修されて細くなったりということになり、長く生きるほどに影響は大きくなります。その結果全ての臓器での機能は低下するのは当然です。下げるほど血管保護と臓器保護につながりますから、長寿になる可能性は高くなるのです。

考えても見てください。直径数mmで心臓を養う冠状動脈や生命活動の中心である脳血管が破綻するだけで頓死することさえ充分にあるのです。血管の若さが全身の若さにつながります。ただし長く生きると、皮膚が硬くなるのと同じで、血管も硬くなり弾力性は低下します。そこへ同じ量の血液がぶつかると、当たりがきつくなって血圧は上がってくるのも自然なことです。

若い人も高齢者も同じ目標値130/80というのはやり過ぎな気がします。そんなこんなで考えますと、高齢者では150台半ばまでは大目に見てよいのだと思います。ただしいつも160以上というのはやはりリスクか大きいような気がします。とにかく血圧は大切にしたいものです。

70歳、80歳の人で健康そうなイメージの方を思い浮かべてみてください。
動作がスムーズ、血色がよい、やせぎすでない、こんなイメージでしょうか。こんな方々の健康診断をしたらどんなでしょうね。きっとコレステロール、中性脂肪が少し標準値をオーバーしていて、血圧もまずまずという感じでしょうか。正常値ばかりを追い求めて元気がなくなる慢性疾患の人をみることがありますが、これでは何もなりません。健康かどうかは印象に表れるものだと思います。そんなところで、健康診断の結果はよほど標準値から離れた結果でない限り、参考程度でよろしいのではないかと思うこの頃です。

【追記】 オミクロン株が猛威をふるっています。PCR検査の陽性者数は過去最大だそうです。
当院でも若い人を中心に毎日何人かのPCR検査をしていますが、陽性であっても軽症者ばかりです。世界中でも第6波の重症化率これまでになく減少しているようです。また陽性かどうかはワクチンの有無に関係ないようで、ワクチンの感染予防効果は少ないように感じます。
陽性者の数で大騒ぎするのでなく、医療が逼迫する重症者の数で論ずるべきで、不安を煽るばかりのマスコミの姿勢に疑問を感じます。にもかかわらず未来を担う子供達へのワクチン接種が始まろうとしています。