肌が合う… ひとは波動を感じて生きている

寺岡内科医院 院長の元気塾202304「第一印象」は大変重要です。話をする前から「…この人は信頼できる、この人とは気が合いそう。」ということを感じます。しぐさ、目の動き、表情、声などから、相手の内面を感じ取るのでしょうが、これを「雰囲気」といいます。日本語には「気が合う」「気配」「気合い」「その場の空気」など、「気」に関する言葉が大変多いといわれます。「気」に重きを置く国民性なのでしょう。「気」とは、漠然として見えないけれど、多くの人が感じることができるエネルギー=「雰囲気」と言い換えれば、「気」が伝わる」ということに多くの方が共感していただけるのではないでしょうか。「気」には良いもの、悪いものがありそうですが、今回は良い「気」が伝わるその時に「肌」の感覚が大変重要であることについてお話したいと思います。人は不安な時、寂しい時、恋するとき触れ合いたくなります。それは我々の先祖が身を寄せ合って生き延びてきた本能でしょうし、また生まれたばかりのころの自分が母親の肌や手のぬくもりで守ってもらった記憶からかもしれません。人間にとって肌を柔らかく触れてもらうことは本能に根差した大きな喜びであることは間違いありません。近年はそこに医学的な説明がされるようになってきました。
  
まずその一例として、ゆっくりと動く柔らかいものに肌は感じ、快感、安心感として脳で認識されるという事実があります。その時、無機質なものでは効果が弱く、優しい「手」が最上なのだそうです。その差は何でしょう。「手」からでている優しい「気持ち」としか言いようがありません。これに脳が反応するのです。これが「気」というものです。この時、体内には安心ホルモンとも呼ばれるオキシトシンやセロトニンが増加します。このホルモンは痛みを和らげ、ストレスを和らげ、自律神経を調整し、免疫力を高めることができることがわかっています。

又、興味深い研究もあります。ある研究では、肩や背中を30分間なでたりさすったりした後の被検者のオキシトシンが増える実験をしたのですが、驚くのは施術する側の人にもオキシトシンが増えたという結果でした。与えた安らぎが自分にも帰ってきたということです。またオキシトシンが元々多い施術者(心豊かそうです。)の方が効果が高かったそうです。これはする側、される側が「肌」を通して共鳴した表われであり、ここでも「気」の流れを感じることができます。

「気」の源は「オキシトシン」かもしれませんし、分泌させた脳細胞なのかもしれませんでは「気」とは一体何なのでしょうか?…その答えは「波動」だといえばどうでしょう。
たとえば人は体の中で心臓は70回/分の拍動という振動を続け、心音、心電位という波動を出し続けています。よく見ると手や足も細かく震えて波動を出しています。ミクロの目で見ると細胞たちも生きるための代謝という形で細かく振動しています。脳細胞も電気信号という波動で動いています。そう、体中が波動であふれ返っているのです。これが空気を伝わって心と体の情報が波動となって肌を通して敏感に伝わるのです。きっと心得ある人の体からは温かい波動が放射されていることでしょう。これが肌に伝わって気功やマッサージの効果となるのだと思います。また、好ましい波動を持つ人同志は本当に波長が合って共鳴するのかもしれません。

ところで新型コロナは最悪の感染症でした。過剰な恐怖心を煽り立て、マスクで顔の表情を見せなくし、人同志のふれあいを妨げるような結果になってしまいました。あげくの果てにリモートワークがもてはやされる始末です。これでは波動は感じられません。本来の人間性に合わないのです。こんなことが続くと力を無くし社会が枯れてしまうような気がします。コロナ明けが近い現在、もう一度本来の人間性に立ち返る模索をしませんか。