武漢肺炎のこれから

寺岡内科医院 寺岡院長202005世界中で武漢肺炎の広がりが留まることを知りません。マスク姿の人を見ると「ばい菌野郎!」となじるくらいマスクが嫌いなアメリカ人が、たった3週間で外出時には全員がマスクと手袋を着用し、NYタイムズスクェアーがゴーストタウンのようになる時代が来ようとは夢にも思いませんでした。外出自粛で皆様も大変な生活を送っておられることと思います。お見舞い申し上げます。

ところですっかりおなじみになったPCR検査(DNA検査)です。これですべて問題解決と成りそうですが、非常に大きな問題があることを先月お話しました。つまり感度が非常に重要で、感染者と分っていても陽性と出るのがせいぜい70%程度というのが実情で、もし誤って陰性とされてしまったら、その30%の人は自由に行動し感染が拡大する可能性がある一方、全くの非感染者からも数%の陽性者が出ることが避けられず、たとえば10000人の人に行えば何百人かが誤って陽性となり隔離されてしまうことになり、大集団でのPCR検査は大いに問題があるということです。この点で失敗したのがイタリアです。医療の提供能力を考えずに多くの人に検査をしたために、軽症も重症もPCR陽性者が病院にあふれかえり医療崩壊を起こしてしまったのは皆様ご存知のことです。

先日、大阪市の保健所に聞いたところ、PCR検査の現状はかなり疑わしい場合に限って実施しているようで、それも1週間先の予約だそうです。また、医院の紹介状をもっていても専門機関(ここでは十三市民病院と淀川キリスト今日病院)の受診まで3日かかるそうで医療はかなり逼迫しているようです。軽症の方は対症療法の薬をもらって自宅で安静にしているしかないようですが、実はこれもスムーズに運ぶ話ではありません。私の医院ではカゼの人にはTV電話や窓越しの診療などで対応させてもらっております。つくづくスマホの有難さに感謝することになりました。

これまでのデータから、日本では感染を受けた人の軽症率80%、重症化率14%、重篤化率6%、となっています。問題を深めたのが80%を占める無症状、軽症の感染者の存在で、ここからも感染が広がるということで、マスク着用や手の消毒、間隔を取ることが叫ばれ今に至っています。治療薬が無い現状では、GWは国の指針に素直に従うしかありません。

ところでこのままで経済は耐えられるのか、本当に心配になって来ました。これから到来しそうな恐慌による企業倒産で、社会的な犠牲者の数が武漢肺炎の死者を越えることがあっては絶対ならないのです。治療薬が無いのですから、これからもウィルス感染は世界を駆け巡ることでしょう。世界のウィルスがゼロになるということは考えられません。渡航制限が解かれたらたちまち侵入してくるでしょう。それでもいつか経済活動を再開しなければならない日が来るのです。そのときのために国民は少しきびしい覚悟を持つ必要があると思うのです。集団免疫の考え方によると抗体をもつ人が60%に達するとパンデミックは終息するそうですが、社会全体に蔓延し、抗体を獲得した人が多数を占めるようになるまで待たなければならないのでしょうか。遠すぎるように思われます。

思うに感染を受けた人の80%がただのカゼで済んでいるのです。抗体は出来たはずです。最近のニューヨーク州の調査ではすでに14%の人が抗体を持っているそうです。これは発病者の実に10倍の数字です。もしこれが本当なら案外抗体を持つ人の割合は予想よりかなり多いのかもしれません。そんな人たちは早めに社会活動に復帰してもらうというのはいかがでしょうか。そのためにも通常のコロナウィルスではなく武漢肺炎ウィルスだけを引っ掛ける正確な抗体検査の普及をぜひ願いたいところです。

一番良いシナリオは特効薬の開発です。富山化学のアビガン、寄生虫薬イルベメクチンなどが有力候補として取り上げられています。ある程度の副作用があっても見切り発進で投与を開始するのかしないのか。後になって批判を繰り返さないよう、我々にも自覚を持った決断がせまられているのです。もし確実な治療と予防が出来なければ、ウイルスは世界各地をめぐって時間差で再び襲ってきます。第2波、第3波、と規模を縮小したパンデミックを繰り返しながら…。犠牲者は増え続けるかも知れませんが、それでも60%の人が抗体を獲得すれば必ず武漢肺炎を征服できる日は来るのです。

それを地で行っているのがスウェーデンです。少し間隔を保つことだけを推奨していますが、ほとんどなにも対策をとらず国民は従来どおりの生活を楽しんでいます。これも間違った選択とはいえないのです。